感染症の定義と感染症に関する法律

人の感染症に限定するのならば、微生物(寄生体)と人(宿主)の関係のうち、人にとって好ましくない、場合によっては生命を脅かしたり、治癒しても後遺症が残る事があるような症状を起こすものを感染症といいます。誰でも感染症にかかる可能性があります。すべての感染症をひっくるめて、一言で定義するのはとても難しいです。

感染症にかかると、体に侵入してきた微生物に対して免疫反応が起こります。免疫反応は炎症を引き起こすために、全身症状として発熱が起こり、局所的な症状としては、皮膚では腫れや膿、消化管では嘔吐や下痢、気道では咳や痰といった症状が起きることになります。

感染症に関する法律
感染症に関しての法律の一部には、伝染を予防するために個人の自由を制限する規定が設けられています。例えば、感染症の患者に対する医療及び感染症の予防に関する法律では、エボラ出血熱や結核などに関しては移動の自由を制限する条項があります。

罰則規定はありませんが、学校保健法が規程する学校伝染病では、例えば風疹では発疹が消失するまで、インフルエンザでは解熱後2日を経過するまでといった出席停止の期間の基準が設けられています。

日本での感染症に関する法律は、所轄の官庁が複数あります。法律上の一番の問題点は縦割り行政のために人畜共通感染症について一元的に統制できていない点です。最近は鳥インフルエンザを契機として人畜共通感染症に対する法律的な対応が変わる兆しがあります。

人と常在菌叢の関係
感染症のように好ましくない関係があれば、好ましい関係もあるはずです。太古の海から現在の海まで海水中には大量の微生物が生きています。海水中の生物は消化管と体の表面に相当する部分を微生物に覆われている状態です。

海水中と比べて、空気中に浮遊している微生物は極わずかですが、陸に上がった生物の表面と外界と通じている気道や消化管は海の中と似た状態で、大量の微生物が生きています。これら微生物を部位ごとに気道の粘膜の「常在菌叢」、消化管の「常在菌叢」や皮膚の「常在菌叢」と呼びます。

人と常在菌叢の関係は一種の緊張関係です。特に消化管では、微生物の体内への侵入が絶えず試みられています。通常は侵入が起きないので感染症は起きません。免疫力が落ちてくると消化管の粘膜表面がカビで覆われたり、血液中への腸内の細菌の侵入による菌血症が起きます。

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