中用量ピルには、強い副作用が出ることがありました。低用量ピルでは、副作用は大幅に軽減されていますが、全くないわけではありません。日本では低用量ピルが認可されるまでに、中用量ピルが使われていました。
国内販売の認可申請がなされた各ピル製品について、各社は臨床試験を行っています。薬事審議会の資料からは各社別の個別データの詳細は不明ですが、各製品間でばらつきがあったことが推測できます。例えば、製品Aでは、18周期の間に412人中58人(14.1%)が副作用のために、服用を中止しています。一方、製品Bでは18周期の間に685人中45人(6.6%)が副作用のために、服用を中止しています。2つのデータの間には妊娠希望等によるピルの服用中止率に大きな差があり、単純に比較はできません。しかし、製品によって副作用の現れ方に差のあることを示唆しているように思います。同じ低用量ピルでも、成分的にはずいぶん違いがあるのだから、製品別のデータを公表すべきだと思います。私の経験では、アメリカ人が「いいよ」っていう製品でも、日本人では「これだめだっ」っていう人が多かったものがあります。
ピルによる副作用は、大きく2つに分けて考えることができます。
一つ目は、ピルのホルモン環境によるある種疾病リスクの増加です。現在、世界で現在使用されている低用量ピルには、重篤な副作用の心配はまずありません。低用量ピルは、世界中で長い間1億人の女性が服用している薬です。ピルと疾病リスクの関係については、長年にわたり多くの研究が積み重ねられてきました。ピルを服用すると、一部の癌や血栓症の発生率が高くなるとの報告があります。これは明らかな事実です。しかし、血栓症の発生率はもともと1万人あたり0.5人程度と極めて低いものです。ピルほど安全性が立証されている薬はないとも言えます。その安全性は風邪薬以上だと信じています。
二つ目は、ホルモン環境不適応による副作用です。つまり、ピルの服用により体内のホルモン環境が、それまでと異なったものになります。体が新しいホルモン環境に慣れるまでの間、不快な症状が現れることがあります。ホルモン環境の変化が不快な症状を引き起こせば、副作用です。ホルモン環境の変化は、同時に快適な状態にしてくれることがあります。これを副効果と呼びます。ピルには生理痛の改善からお肌への影響まで、幅広い副効果があります。例えば、吐き気です。ピルを初めて飲む人の場合、ピルの服用を開始してしばらくの間、軽い吐き気等の副作用が見られます。この副作用は一時的なものですが、自分にあったピルを見つけることで相当程度、軽減されます。
健康にマイナスに作用する効果を副作用とすれば、ピルにはプラスに作用する効果もあります。ピルが病気を予防する可能性と病気を引き起こす可能性では、前者の方が大きいといえると思います。ピルの服用により婦人科疾患や一部の癌の発生率が低下することも知られています。これもピルの副効果です。